「色彩には、間違いなく、人の心を動かす何かがある」
この確信が、私たちが色彩を研究し続ける源ですが、おそらく、今このページを見ている人の多くが、そのことを何かしら感じている方ではないでしょうか。
人間だけに、これだけ多くの「色を見る目」、そして「色を感じる心」が与えられています。「生命の1つ1つが、その生命を表現すること、それが生きることで、そのためにどうしても色彩が必要である。」色彩を研究した先人たちが辿り着いたことばには、重みや輝きがあります。そして、謎があります。そこへと行き着くまでの考え方や道中に、宝物がたくさん潜んでいます。
黄色にどうしてその力があるのか、紫色にどうしてそんな力があるのか、各色が人の心に与える影響、そこへ行き着くまでの考え方に含まれる宝物を、自分自身の手で拾い集められるような学びの体系を。そして、それが色を、生き生きと学ぶことになるように。そのような学び舎を築くために、私たちは多くの年月を費やしてきました。
色の本当の力を知ることは、自然の本質へと導かれてゆく、自分自身との対話でもあります。確かな言葉にできることも、たくさんあります。
『 ゲーテの提唱する色彩環図 』
本来の色を心理学する「色彩心理学」ならびに、自然の本質を色から学ぶ「色彩自然学」には、ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)[1749-1832]をはじめ、ユング(Carl Gustav Jung)[1875-1961]、空海(弘法大師)[774-835]たちの知恵が、主に息づいています。
ゲーテの色彩世界観において、生きた自然の本質が、色彩という象徴言語に含まれていることを学ぶことができます。また、ユングが提唱する分析心理学では、心の諸要素を光と闇から探求することができます。また、色彩がこの世に必要だと語った空海の色彩・宇宙認識論も、この学には根本精神として、息づいています。
これら先人たちの知恵を集結させ、色彩の本質を解明統合した『色の本質マスター講座』は、色彩の1つ1つの「部分」と「全体」を、総合的に学ぶことができます。色彩心理学や色彩自然学を学ぶ上で最も重要で、色鉛筆、くれよんなどの色を用いた楽しく深く学べる基幹講座になります。言葉では難しく聞こえるかもしれませんが、みなさんひとりひとりである「私」と、密接に関わった学びです。黄、青、赤、緑、紫、橙の個性的な力を根っこから学び知ることで、色彩全体の花が開いていくような学びの時間をもってもらえます。
このように、色彩心理学や色彩自然学では、西洋から東洋までの先人たちの色に対する姿勢や世界観が息づき、学び手の色彩世界観を広げ深めることができます。また、基幹理論となる「色の本質マスター講座」において、1つ1つの色の本質と、全体との関わりを体系的に学ぶことで、色彩を心理学的にどのように考えてゆけばよいかという足がかりを習得することができます。
色彩の力を生活や仕事に取り入れたいとき、色彩それぞれの影響や効用を表層的に知るだけでは、色彩の創造的な力を発信することができません。その根拠や真理を学びとること、色彩を扱う姿勢をもつことが、色彩ある生活や仕事をプロフェッショナルにやってゆきたい方には必要になります。
当研究所では、明度や彩度という私たちが定めた科学的なものの奥にある、刻みこまれた自然の本質を、それぞれに輝く色としてとらえ、それを人間の心理や精神に関わるものとして学んでゆく時間を重視しています。
昨今では、人間の心、扱う人の心に対応した色彩計画、色彩心理学の仕事が、求められています。それは、自然とともにあってこそ癒しであると私たちは考えています。
この学問で手にする資源から、多くの色のことを考えだす力を発揮してほしいと願っています。
日本色彩心理学研究所は、創設者である高橋佳子(色彩心理学博士Ph.D.)が2003年にオリベットナザレン大学で色彩心理学博士号(Ph.D.)の学位を修めたことをきっかけに、多くの方の知恵をかりながら、翌年2004年に神戸市中央区に設立いたしました。以来、2020年における現在まで、微力ながらも色彩心理学における研究教育活動と、その成果を社会に還元するための活動を続けてきました。
2019年4月より、一般社団法人日本色彩心理学研究所として歩み出すこととなりました。 設立から16年の月日が流れ、さまざまな時代において色彩心理学が担えることを経験しました。 今後も設立当初の思いを忘れることなく、色彩心理学の教育・研究における専門機関として、人類が抱える心の課題の克服に、 色彩という自然言語の力をかりて、さらなる貢献ができるよう尽力していきたいと思います。
今後はより一層発展し、有用になるであろう色彩心理学や色彩自然学の教育展開と、それを行うことのできる色彩心理学療法士・色育士の輩出に力を入れ、色彩教育に、そして人類の生きる活動に貢献してゆきたいと思います。
一般社団法人 日本色彩心理学研究所のロゴマークは「いろひとくん」。人間は、色彩とともに、自らの内に息づく自然の創造性に立ち帰ることができます。
どれだけ心に余裕がないときでも、ふと空の青を見上げたり、赤い花を見つけたり、黄色い光を浴びたり、緑の芝の上に寝そべったり、紫の治癒力を感じたり、生命の点であることや循環の中にあることに知り、私の全体を感じながら現代を生き抜いていきたいという願いを「いろひとくん」に込めました。
「いろひとくん」の知恵をさす頭の部分には、色彩心理学の基幹理論となる「色彩環理論(こころの3原色理論)」における色彩環図を示し、色彩という象徴言語を知ればひとりひとりの生き方が、創造的に豊かになることを象徴しています。
所長高橋 水木
はじめまして。所長の高橋です。
私たち人間は多くの色を見る目や、楽しむ心が与えられています。
色彩が、根源的なものの出会いから誕生し、自然の摂理をもって全体と関わり、絶頂し、ふたたび巡ることをここでは学びます。微妙な色の違いを生みながら変化していく外界の色は、私たちの心や、私たちの内界と呼応して動いています。
色彩心理学は、色彩を心理学的に紐解いてゆくことの使命を持つ学問であると認識しています。科学的な追求は、我々の目的ではありません。私たちひとりひとりがもつ「心」の諸要素と、どのように色が関連しているかを探求することで、私たちに与えられた自然を、その意味や価値を学び深める学であると考えています。
色を知りたい欲求は、私の奥底からやってくるもので、生命の謎や自然の神秘を知りたいことと同じだと思います。どこまでいっても究めがたい学びの世界ですが、我々がこの学びから目指すのは、人間と自然との和合の形でもあると思います。
色の源泉学習は、その方の中の創造性を活気付かせます。ここでの学びは実習が多いですが、色彩に私たちの様々な心の動きが伴っていることを実感することと思います。色を1つ1つ知っていくという作業は、私を1つ1つ知っていくことと同じ力を持ちます。我々はいつでも変容してゆく可能性とともに、勇気をもって歩んでいくために生きているのだと思います。
色彩を扱う全てのひとに、色と心の関係における「知識の源泉」を学んでもらい、それぞれの生きる活力にしてもらいたいと切に願っています。すでに色彩の研究をされている専門家の方々や隣接領域に携わる方々にも、この学び舎にぜひ協力していただきたいと願っています。また、ここで先代から学んできた方々や資格者たちにも、色で日本を元気にできるような場を共に作ってゆけるようサポートしたいと思います。
【プロフィール】
日本色彩心理学研究所所長
色彩心理学療法家
色彩自然学者
色育士代表
1980年生。大阪芸術大学卒業。在学中、芸術活動に専念する傍ら、芸術心理に興味を持つ。
2004年より当研究所就職、2008年主任研究員、2014年誰もが気軽に創作表現活動を通して自己に関わりがもてる「色彩心理学療法」考案。実践を積む。2017年、自然の本質を色で学ぶ「色彩環理論(心の3原色理論)」提唱。大学講師や色彩心理学療法士育成プログラム監修。
2019年、人間の本質だけでなく、自然との関係性において色彩を研究する『色彩自然学』を体系づけ、提唱。同年4月、所長に就任。現在はオンラインでの色育士たちの養成と、色をとおした全国での心理支援活動も行なっている。
↑大学での「青」の講義
現在、コロナ禍により、下記のリアル講座は全面中止しています。オンラインでの講座展開につきましては、姉妹サイト「色彩自然学の学校」をご覧ください。
当研究所は、学んでくださるみなさんにしっかりと学びが浸透するよう、部分学習から全体学習へと学びの歩を進めていただくプログラムを実践しています。各講座の概要を一覧できるよう、下記にまとめておりますので、ぜひご覧ください。
* 各講座の簡単な概要
現在、コロナ禍により、下記のリアル講座は全面中止しています。オンラインでの講座展開につきましては、姉妹サイト「色彩自然学の学校」をご覧ください。
色彩環理論(こころの3原色理論)学習
多様な色彩を考える土台になる
当研究所は15年以上の色彩と人間の心との関連の研究において、人間の心理における色彩の展開を考えるためには、唯一の輝きと独自性をもった3つの色彩の本質的ふるまいや力、そしてそれらとの関係性を学習することが、源泉学習であることを検証してきました。 この3つの色彩を「こころの3原色」と呼んでいます。これら1つ1つの色彩は、それぞれに異なった唯一の輝きと魅力、そして人間に対しても、強い影響力を与えています。これら3色への感覚や、そこに起こる心的エネルギーを徹底して大切に扱うことで、自然の一部である私たちの心がどのように成り立っていくのかという連関を理解することができます。
これらの色彩感覚の習得は、「自分が感じること」を通して行われるため、色彩の本質へと接近する実習、その方法が重要になります。そしてその心理的意味や物語を考察、学習する時間も重要になります。このような学びの過程を経験した人は、自然の生きた表情を色彩から感じ取る感覚を回復し、ことばとしても表現する能動的な行為が助長されるように思います。そうして、「私」という全体にふまえ、中心を志向する健全な力が自ずと養われます。それは、「私」が社会の中で、心と体を調和させながら力強く生きていくということにも繋がります。
ぜひ、日本色彩心理学研究所渾身の色彩心理学基幹理論、「色彩環理論講座」を、ご興味がある方は受講してみてください。 色彩を根っこから考えだす力が身につきます。
なお、企業の方の企業研修のご相談には、別途応じておりますので、お問い合わせください。
現在、コロナ禍により、オンラインでの講座展開に変更しております。詳しくは、姉妹サイト「色彩自然学の学校」をご覧ください。